人
プロジェクトの目的は変更を提供することであり、この変更が人の通常業務活動・ルーチン・責任に影響を与える。プロジェクトの成功は、プロジェクト・チームの能力、チーム間の関係の強さ、変更のインパクトを受ける人によって変わる。

基本定義
| 用語 | 定義 |
|---|---|
| 組織のエコシステム | 組織の内部要素(スタッフ・委員会・オーナー・その他利害関係者)と外部関係(顧客・パートナー・サプライヤー・規制当局・競合他社等)を合わせたもの |
| プロジェクト・エコシステム | プロジェクトおよび関連するユーザーとサプライヤーに関係する、またはそれらによって直接インパクトを受けるビジネスの要素 |
| 変更マネジメント | 組織が現在の状態からターゲットの状態に移行するための手段 |
| カルチャー | ある集団を特徴付ける共通の姿勢・価値観・ゴール・働き方 |
変更を成功に導く
プロジェクトに必要な変更マネジメント
すべてのプロジェクトは、人・組織・システムの運用に現在の状態からターゲットの状態への変更をもたらす。
- 現在の状態:変更前のルーチン・責任・関係・カルチャー・能力
- 暫定的な状態:移行中の一時的な状態(一部のプロジェクトで発生)
- ターゲットの状態:変更後の望ましいルーチン・責任・関係・カルチャー・能力
PRINCE2では変更マネジメント・アプローチを作成・維持することで変更に対処する。
変更マネジメント・アプローチの考慮事項
- 変更マネジメント・アプローチが支援しているプロジェクト・チームの意思決定
- 移行中・移行後に必要なスキルと能力
- プロジェクトのインパクトを受けると考えられる組織のエコシステムの領域
- 考慮すべき主要な関係
- カルチャーの進化
- 最適な移行方法(学習・スキルアップ・知識の移転・新しい人材採用など)
利害関係者
定義:利害関係者 — プロジェクトに影響を与える、またはプロジェクトから影響を受ける(もしくは影響を受けると自らが認識する)個人・グループ・または組織。
主要なインフルエンサーの例:
- シニア・エグゼクティブ
- ユーザー・サプライヤー・運用コミュニティで日常のタスクと意思決定を行っている人
- 情報・知識・資金の流れのボトルネックとなっている人(文書管理者・技術専門家・商業マネージャーなど)
- プロジェクト・エコシステム内の多数派の認識を具現化できる人
- ネットワークを通じて、プロジェクト成果物の導入とベネフィット実現に最大の影響を与えられる人
利害関係者はプロジェクトの進展とともに変化することがあるため、インターフェース間の関係構築を支援する形でプロジェクトを確立することが重要。
カルチャー
- 多くのプロジェクトでは組織の異なる領域から人が集められ、それぞれ異なるカルチャーを持つ
- プロジェクト・チームはビジネスとは別のプロジェクト・カルチャーを確立しながらも、より広範な組織のエコシステムとの整合を保つ必要がある
- 共通の理解を基に振る舞いの整合性が保たれ、プロジェクトのカルチャーが設定される
- プロジェクトが進捗するにつれて主要なインフルエンサーも変化しうるため、共通の理解の有効性を維持することが重要
チームを成功に導く
定義
| 用語 | 定義 |
|---|---|
| 協働 | プロジェクト目標を達成するために、プロジェクト・エコシステム全体で人々が協力すること |
| 共創 | 成果物の設計においてユーザーと主要なインフルエンサーが関与して特定の形式で協働すること |
| リーダーシップ | プロジェクト目標を達成するために人々をやる気にさせること。協働・説得・影響・共創によって行うことが最善 |
| マネジメント | 合意された作業方法に沿ってタスクの実行を指示すること |
プロジェクト・チームを成功に導く認識事項
- プロジェクト・マネージャーの正式な権限は必ずしも実際の権限構造を反映していない
- プロジェクトの一時的な性質により、関心の整合と人間関係スキルを通じた影響力が必要
- PRINCE2が定義する役割は、その人の職位と整合しないことがある
- チーム・メンバーには他の優先事項があり、プロジェクトのニーズと競合する場合がある
- チーム・メンバーがプロジェクト・マネージャーよりも年長で、階層的な緊張を招くこともある
- やる気を引き出す要因の中には、プロジェクト・マネージャーの範疇を超えるものもある(報酬・キャリアアップなど)
組織の境界を越えて導く
カルチャーに対する知性(組織のエコシステム内のカルチャーを超えて共感・作業する能力)が必要。
カルチャーを超えてうまく作業するために必要なこと:
- チームが適応し、互いにうまく連携する方法を見つける
- 人が柔軟に調整できる明確なプロジェクト境界を設定する
- 人が成功するための適切な条件を確立する
- 多くの異なる観点が存在することを認識し、考慮する手段を持つ(感情的知性)
- 人がその中で作業する制約を認識する(時間・関心の度合いの違いなど)
効果的なチームを構築する
効果的なチームに必要なもの:
- プロジェクトの要件に合致する多様な能力・コンピテンシー・観点
- チーム・メンバーが受け入れられ、尊重され、否定的な結果を恐れることなく多様な視点を表現できる環境
PRINCE2が効果的なチームの構築を支援する方法:
| ツール | 役割 |
|---|---|
| プロジェクト計画書 | チームのゴールについて説明して明確な目的を生み出す |
| プロジェクト・マネジメント・チーム組織と役割記述書 | チーム構造・役割・責任・関係を説明し、コーチングやトレーニングのニーズ特定を支援する |
| コミュニケーション・マネジメント・アプローチ | チーム・メンバーが積極的に関わり支援し合う方法を説明する |
| プロジェクト立ち上げ文書 | 合意された作業方法を説明し、チームが成果の提供に集中できるようにする |
| 成果物ベースの計画立案 | ユーザーのニーズを満たすものへの合意と、主要なアウトプットの依存関係・順序を明確にする |
チームをまとめる
社会的結束を構築する方法:
- 人々が目的を明確にして定期的に会う機会を設け、サイロ間で信頼を構築する
- 主要な関係がどのように構築・維持されるかを考慮する
- オフィス拠点のプロジェクト・チームを同じ場所に配置することで有機的な関係構築を促進する
バーチャル・チームや離れた場所のチームへの追加活動:
- 主要な人とチームが同じ場所で作業できる日を設ける
- 構造化されていない自由なオンラインでの会話時間を確保する
- 仮想チームのための「アウェイ・デー」を開催する
- 仮想協働ツールを活用する
- 対面で会い交流する機会やインセンティブを提供する
コミュニケーション
コミュニケーション・マネジメント・アプローチの目的は、プロジェクト・エコシステム全体でコミュニケーションをとってフィードバックを受ける手段と頻度を定義・説明し、利害関係者のエンゲージメントを促進する双方向の情報の流れを確立すること。
チームタイプ別のコミュニケーション
| チームタイプ | ポイント |
|---|---|
| 同じ場所にいるチーム | 情報は公式・非公式の両ネットワークを通じて有機的に共有される。つながっていないメンバーをモニタリングし対処する |
| リモートのチーム | 構造化されたアプローチが必要。構造化されていない情報にも耳を傾ける時間を組み込む |
| ハイブリッドなチーム | 場所が原因で特定のグループが疎外されないようにする |
コミュニケーションの重要事項
- 発信と同じく聞くことが大切。プロジェクト・エコシステム内の認識と懸念事項を理解することを目指す
- 「静かなフェーズ」:プロジェクトが適切に定義されるまで広範なコミュニケーションを最小限に抑える(特に政治的に敏感な場合)
- 定期的な報告だけに頼らない。報告はバイアスの影響を受ける可能性があるため
- オープンで透明性の高い環境はバイアスのレベルを下げる
- プロジェクトへの抵抗を表す人は、コミュニケーションをどこに集中させるべきかを示す有用な指標
手法の中心は人
人とPRINCE2の原則との関係
| 原則 | 人的要因との関係 |
|---|---|
| ビジネス正当性の継続の確保 | プロジェクトのビジネス正当性はユーザー・ビジネス・サプライヤーの3つの関心をすべて満たす必要がある |
| 経験からの学習 | プロジェクト・エコシステム内の知識は社会的学習を通じて最も効果的に学べる |
| ステージによるマネジメント | 各ステージでインフルエンサーと主要な関係に変化が生じる。ステージ境界は組織設計における移行を示す |
| 例外によるマネジメント | 意志決定はその意志決定を行うために必要な知識が存在する最もローカルなレベルで行う |
| 成果物重視 | ビジネス・ユーザー・サプライヤーのコミュニティと成果物を共創することでさまざまな観点が統合される |
| プロジェクト状況に合わせたテーラリング | PRINCE2の手法を関与する人や組織に適応させる(逆ではない) |
他フレームワーク補足
| 概念 | PRINCE2 | PMBOK | PgMP |
|---|---|---|---|
| 変更マネジメント | 変更マネジメント・アプローチとして文書化し現在の状態からターゲットの状態への移行を管理する | (今後追記) | (今後追記) |
| 利害関係者マネジメント | コミュニケーション・マネジメント・アプローチで利害関係者の特定とエンゲージメントを管理する | (今後追記) | (今後追記) |
| チームリーダーシップ | 正式な権限を超えた影響力・協働・共創を通じてチームを導く | (今後追記) | (今後追記) |
| コミュニケーション | コミュニケーション・マネジメント・アプローチとして双方向のフィードバック・ループを確立する | (今後追記) | (今後追記) |
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