計画
計画プラクティスの目的は、プロジェクトのビジネス・ケースを満たすために、提供する成果物(「何を」)と成果物を提供する手段(「誰が・どのように・どこで・いつ・どのぐらい」)を定義することによってコミュニケーションとコントロールをスムーズにすること。
基本定義
| 用語 | 定義 |
|---|---|
| 計画書 | プロジェクト全体(またはその活動のサブセット)の何を・どこで・いつ・どのように・誰がを概説する提案。プロジェクト計画書・ステージ計画書・チーム計画書・例外計画書がある |
| スコープ | 承認された計画とその成果物記述書およびワーク・パッケージ記述書によって表される成果物・デリバリー・マネジメント活動をすべて合わせたもの |
| 計画期間 | 合理的な確実性を持って計画を立てることが可能な期間 |
| 成果物ベースの計画立案 | 必要な成果物の作成とデリバリーに基づいて計画する技法 |
| 依存関係 | ある成果物が別の成果物に依存していること(内部依存関係・外部依存関係の2 種類) |
計画の3つの統合観点
- 提供される成果物と実現されるベネフィットについてのユーザーの期待
- これらの期待を満たす最も効果的なアプローチについてのプロジェクト・マネジメント・チームの評価
- プロジェクトに対するビジネス支援(資金・人・リソースについてのコミットメント)
4 種類の計画書
| 種類 | 目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| プロジェクト計画書 | プロジェクトがビジネス・ケースを満たすという確信をプロジェクト委員会に提供する | プロジェクト目標をいつ・どのように達成するかの概要。ステージ数とステージ境界の詳細を特定 |
| ステージ計画書 | ステージ全体を通じてプロジェクト・マネジメント・コントロールの基準として使用 | 各要素がプロジェクト・マネージャーの日々のコントロールに必要な詳細レベルまで分けられている。プロジェクト計画書まで追跡可能 |
| チーム計画書 | ワーク・パッケージを実行するときにチームの作業を整理・コントロールする(任意) | チーム・マネージャーが作成。1つまたは複数のワーク・パッケージの実行を促進する |
| 例外計画書 | 例外報告書に続き、ステージ内における例外への対応方法を説明する | 合意された許容度を超えると予想される場合に作成。承認されると現在のステージ計画書と置き換わる |

計画立案技法
ステップ1:成果物の定義と分析
プロジェクト成果物記述書の作成
- プロジェクトの始動プロセスで作成
- ユーザーが期待するすべての主要な成果物が特定されていることを確認
- 受け入れ基準を客観的に測定可能な単位で示すことを推奨
成果物ブレークダウン・ストラクチャー(PBS)の作成
- 提供される成果物とその必須コンポーネントを説明する階層構造
- 成果物を関連する要件ごとに論理的にグループ化できる
- 同じ調達方法またはデリバリー手法に関連する要件をグループ化する
成果物記述書の作成
- 各成果物の要件を現実的な計画立案・見積もり・スケジューリング・品質コントロールが可能なレベルで詳細化
- 直線的なプロジェクトでは立ち上げステージで作成、反復的なプロジェクトでは開発と並行して改訂
成果物流れ図の作成
- PBSで記述された成果物の作成順序と相互依存関係を示す図式
- 明確な出発点と終了点を持つ
- 中間成果物(別の成果物のデリバリーに不可欠なインプットとして作成される成果物)も含める
ステップ2:ワーク・パッケージのとりまとめ
- 成果物流れ図をベースにデリバリー手法(直線・反復・ハイブリッド)を決定する
- 各成果物に関わるデリバリー活動を特定し、ワーク・パッケージにまとめる
- 各ワーク・パッケージには少なくとも1つの最終成果物または中間成果物を含める
- ワーク・パッケージ間のスコープの重複がないことを確保する
ステップ3:見積もりの準備
| 見積もり項目 | 内容 |
|---|---|
| 人 | 必要な特定のスキル・関連する労力のレベル・必要な時期と場所 |
| リソース | 特定の材料・機器・施設・天然資源・資金とその数量 |
| 活動の期間 | タスクを完了するのにかかると考えられる時間 |
| 人とリソースのコスト | 人件費・手数料・給与・材料の単価等(市場レートまたはサプライヤー契約に基づく) |
| ベネフィット | プロジェクト成果物によって実現する成果の価値の見積もり |
| リスク | 接近度・発生確率・ベロシティ・リスクのインパクトの見積もり |
すべての見積もりに信頼度を含めることが有用。
ステップ4:スケジュールの準備
主要なスケジューリング技法:
| 技法 | 特徴 |
|---|---|
| ガント・チャート | 時間の進行に対するタスクの所要期間を図で表示。多数の活動とマイルストーンを持つプロジェクトに有効 |
| スプレッドシート | ワーク・パッケージとタスクをタイムラインと一覧表示。シンプルなプロジェクトに適切 |
| 成果物チェックリスト | 主要成果物とその重要なデリバリー期日の一覧表 |
| 活動フロー・ボード | 各成果物がどのように進行するかを示す(カンバン・ボードなど) |
- フロート(余裕時間):計画の完了時期に影響を与えずに活動を遅延できる時間
- クリティカル・パス・ダイヤグラム:フロートの合計が最も少ない活動の順序を表す
- クリティカル・チェーン:利用可能なリソースが与えられているときにプロジェクトが短期間で完了するのを妨げる一連のタスク
ステップ5:予算の準備
計画の予算に含める項目:
- 成果物を作成・提供する活動のコスト(人・機器・材料・施設・プロジェクト・マネジメント活動)
- リスク予算
- 変更予算
- コスト許容度
ステップ6:リスクの分析
- 計画の詳細化が進むにつれ、潜在的なリスクを調査する
- 特定されたすべてのリスクはプロジェクト・ログ(リスク登録簿)に入力する
- リスク内在の計画書は、リスクの取り扱いについて意思決定がなされるまで草案と見なされる
ステージとワーク・パッケージ
ステージの数
| ステージ数 | 適切な状況 |
|---|---|
| 最小 2ステージ(立ち上げ+デリバリー) | 十分に理解された少数の成果物と成熟したデリバリー手法で構成される単純なプロジェクト |
| 複数のデリバリー・ステージ | 複雑な成果物と複数のデリバリー手法で構成されるより大規模なプロジェクト |
ステージの長さの考慮要因
- 複雑性:依存関係が多い場合は短いステージの方が例外の発生を防げる
- リスクのレベル:主要ポイントでの一時中断でリスクをレビューできる
- 計画期間:重大な不確実性がある場合、短いステージで見積もりを改善できる
- 適切な意思決定ポイント:プロジェクト委員会のクリティカルな意思決定とビジネス・レイヤーの決定に整合させる
- プログラム活動との整合性
ステージの長さはプロジェクト全体で同一にする必要はない。
支援技法
優先度付け
| 技法 | 概要 |
|---|---|
| MoSCoW 分析 | 対応必須(Must)・対応推奨(Should)・できれば対応(Could)・対応不要(Won’t)に分類 |
| プロダクト・バックログ | フィーチャーがユーザーにとって利用可能になる順序を説明するアプローチ |
| ペアワイズ比較 | 基準間の優先順位を理解するための比較技法 |
| 狩野モデル | 魅力的フィーチャー・パフォーマンス・フィーチャー・必須フィーチャーに分けて顧客満足度を測定 |
| アイゼンハワー・マトリックス | 重要性と緊急性の2 軸で基準を評価 |
見積もり技法
| 技法 | 説明 |
|---|---|
| トップダウン | 主要成果物とワーク・パッケージのコスト・期間・労力を概要程度の信頼度で見積もる |
| ボトムアップ | 個々の成果物・コンポーネント・活動の下位レベルの見積もりを集約する |
| 比較 | 同様のプロジェクトまたは市場情報に基づいた見積もり |
| パラメーター | 経験的データとモデルを使用した見積もり(建設業界など) |
| データ解析 | 記述的・予測分析を使用した見積もりの改善 |
| 特定領域の専門知識 | DelphibまたはプランニングPokerなどの合意ベース技法 |
プラクティスの適用
デリバリー手法による違い
直線的かつ連続的プロジェクト:
- ほとんどの計画立案作業は始動・立ち上げプロセスで前もって適用される
- 期間・労力・コストを高い信頼度で見積もれる
反復的かつ段階的プロジェクト:
- 固定された期間(スプリント・タイムボックス)でどれだけ作成できるかに焦点
- 各イテレーションに許容度を設定し、時間とコストを効果的に固定してスコープの柔軟性を高める
- ユーザー・ストーリー・エピック・プロダクト・バックログを開発
- カンバン・ボードなどの協働計画立案ツールを活用
マネジメント成果物
計画書
- コンテンツ:スコープ・依存関係・計画立案の前提条件と必須条件・参照した教訓・提供される成果物・実施する作業・予算・スケジュール・ターゲットと許容度・モニタリング・コントロール・報告の取り決め
プロジェクト成果物記述書
- コンテンツ:目的・主要成果物・派生・ユーザーの期待品質・受け入れ基準・受け入れ手法と責任・プロジェクト・レベルの品質許容度
ワーク・パッケージ記述書
- コンテンツ:実施する作業の記述書・チーム・マネージャーまたは認可された人・成果物記述書・技法と手順・変更コントロールの要件・制約・モニタリング・コントロール・報告・ターゲットと許容度・参照・承認・合意
他フレームワーク補足
| 概念 | PRINCE2 | PMBOK | PgMP |
|---|---|---|---|
| 計画書の階層 | プロジェクト計画書 → ステージ計画書 → チーム計画書(任意)・例外計画書 | (今後追記) | (今後追記) |
| 計画技法 | 成果物ベースの計画立案(PBS・成果物記述書・成果物流れ図) | (今後追記) | (今後追記) |
| 優先度付け | MoSCoW・プロダクト・バックログ・ペアワイズ比較・狩野モデル・アイゼンハワー・マトリックス | (今後追記) | (今後追記) |
| スケジューリング | ガント・チャート・クリティカル・パス・クリティカル・チェーン・フロート | (今後追記) | (今後追記) |
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